たくさんの種類のある、日本の工芸品。その中でも特に人気が高い物と言えば焼き物です。
「〇〇焼」として耳にしたことがあるという方も多いと思います。
日本だけでなく、海外にもファンが多い日本の焼き物。豪華絢爛なものから、親しみやすいシンプルなものまで、幅広い種類が存在します。
今回はそんな焼き物について、これいい和市場で人気の高い5つに絞ってご紹介いたします。

有田焼

生産地:佐賀県有田町周辺の地域
材質:磁器
特徴:骨董品や芸術品としても有名な有田焼は、日本のみならず海外にもファンの多い工芸品です。生産地の名前から「有田焼」と呼ばれ400年以上の歴史を持った焼き物です。なめらかな白磁をベースに、色とりどりに美しく「絵付け」されたものや、「染付」と呼ばれる技法でベースの色を藍色にしたものもあります。代表的な絵付けは「有田三様式」と呼ばれ、「柿右衛門(かきえもん)様式」「鍋島様式」「古伊万里様式」の3つがあります。
有田焼のはじまりは、元は豊臣秀吉によって連れてこられた、朝鮮の陶工から国内に広まり、国内初の磁器として生産されるようになります。17世紀後半に東インド会社が有田焼を買い付けるようになり、その芸術性の高さが人気となりました。
なめらかさと薄さ、美しさも兼ね備えた有田焼ですが、現代に合わせた取り入れやすいデザインの物も多く、そのバリエーションの多さも魅力の一つです。

九谷焼

生産地:石川県加賀地域
材質:磁器
特徴:見ている人を華やかな気持ちにさせてくれるような、「黄、緑、赤、紫、紺青」の「五彩(ごさい)」と呼ばれる絵の具が使われた絵付けの九谷焼。
焼き物の中でも一目見て「九谷焼だ!」とわかる方も多いと思いのではないでしょうか。
九谷焼は1655年、江戸時代前期に加賀藩の初代藩主・前田利治が磁器の元となる陶石が領内で発見されたことに着目し、これを発展させるために窯を作ったことが始まりとされています。九谷焼は時代によって代表的な作風が様々あり、「古九谷」「再興九谷」、そして現在の「九谷焼」とざっくり分けられます。
九谷焼の歴史を語る上で避けて通れないのは、わずか50年で消えたという謎。
実は1710年頃、突然九谷焼の窯は閉じられたことがあります。その原因は明らかにされていませんが、その期間に焼成された焼き物が「古九谷」と呼ばれています。それからおよそ120年後、九谷焼は吉田屋窯によって復活を果たし、これを「再興九谷」と呼びます。
同じ九谷焼でも、窯によって異なる様式がありますが、色使いから九谷焼と分かりやすい九谷焼。その華やかさから、お正月など節目となるハレの日のうつわとしてもこれいい和で人気です。

こぶ志焼

生産地:北海道 岩見沢市
材質:磁器
特徴:「辛夷(こぶし)の花」から命名された「こぶ志焼」。その由来は、初めて窯を炊いた時に、春を告げる辛夷の花が多く咲く季節だったことからきているそうです。
「北海道のやきものを広める」、そして「手作りで安く、使い易く」をモットーに、焼き物には向いていないとされている北海道の土地で、土づくりから焼き上げまで試行錯誤を重ねて生み出したのがこの「こぶ志焼」です。1946年に開窯、歴史は浅いですが北海道内の原料を100%使用した土づくりにも取り掛かかるなど、志を持ってうつわ作りを行っています。釉薬によりバリエーション豊かな焼き物ですが、その中でも代表的なのが「海鼠釉(なまこゆう)」と呼ばれる深みのある藍色のうつわ。深海のような深い藍色から、水面に差し込んだ光を感じさせるような緑がかった青が、何とも言えず美しい色合いです。
これいい和でも男女問わずファンの多いうつわです!光を反射して輝く青の魅力をぜひお楽しみください。

美濃焼

生産地:岐阜県 土岐市、多治見市、瑞浪市、可児市
材質:陶磁器
特徴:比較的手に入りやすく、安価なものも多い美濃焼。
時代によって変化をしてきた美濃焼は、明確な特徴があるというよりは、幅が広く多種多様なところが魅力の焼き物です。その柔軟さは、食器としてだけでなくタイルとして活用されていたりもするほどです。
美濃焼の歴史は古く、その原型は平安時代にさかのぼると言われています。安土桃山時代には茶の湯の文化が栄えると共に、美濃焼も様々な技法が発展します。黄瀬戸(きせと)、瀬戸黒(せとぐろ)、志野(しの)、織部(おりべ)など美濃焼を代表する様式が生まれています。地域ごとに専門性も生まれ、明治以降は技術革新もあったおかげで、美濃焼は手に取りやすい価格で広まるようになります。日本で生産されている食器の約50%のシェアを占めており、家にあった食器が「実は美濃焼だった!」なんて方もいらっしゃるかもしれません。
ちなみにこれいい和が催事で出店をする時は、美濃焼の豆皿は一番といって良いほど人気のうつわです。工芸品初心者の方にも気軽に手に取りやすいうつわです。

波佐見焼

生産地:長野県 波佐見町
材質:陶磁器
特徴:美濃焼と同じく、比較的安価で日常使いに適している波佐見焼。その特徴は白磁に呉須(藍色)で描かれた染付です。シンプルながら使いやすい柄も多く、親しみやすい食器として人気のある工芸品です。
「高級品」とされていた陶磁器を、庶民のうつわというイメージにし、手に取りやすいイメージにしたのも、この波佐見焼だと言われています。
その転機は江戸時代、大阪を中心に手ごろで丈夫な茶碗「くらわんか碗」が売られるようにになったことです。ちなみに「くらわんか」は「食べないか」の方言のこと。淀川の船上で「飯くらわんか、酒くらわんか」と物を売っていた際に、碗にご飯やお酒を入れて提供していたそうです。くらわんか碗は揺れる船の上でも使えるよう厚手で重心を低くしたフォルムで安定感があり、一躍人気の食器になったそうです。
400年以上の歴史がある波佐見焼、今っぽさを感じるデザインの物もたくさんありますので、ふだん使いにもってこいのうつわです。

今回、「人気の焼き物・うつわ5選」と題して焼き物の概要をご紹介させて頂きました。
同じジャンルでも歴史をたどるとその特徴も少しずつ違っていたり、他の焼き物の良い部分を活かして新しい試みがされていたりと、奥が深いですね!
工芸品を知る上での参考にしてみてください!

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