もくじ
1|はじめに
2|「目止め」とは?
 2-1|「目止め」のやり方
 2-2|目止めが必要なうつわとは?
3|陶器と磁器の違い
4|貫入について
5|最後に

1|はじめに

うつわをご購入いただいたお客様へ、私たちがご使用になる前におすすめしていること、
それは「目止め」です。

「萩の七化け」という言葉があるように、うつわは長く使うほどに変化していく生きもののようなもの。
自分だけの味わいあるうつわを育てていくのは、とても楽しいですよね!
ただ、買ったままのきれいな状態を少しでも維持して、お気に入りのうつわを「長く使い続けていきたい」、そう感じている方もいるかと思います。
そこでおすすめしているのが、冒頭で出たワード「目止め」です。

2|「目止め」とは?

目止めとは、簡単に言うとうつわの汚れを防ぐために、表面をコーティングすることです。
なぜコーティングをする必要があるのか、それをご説明する前にまず知って頂きたいことがあります。
実は私たちが普段使っている陶器の素材が、そこに関係しているのです。
陶器はそもそも土からできています。
おおまかにいうと、土を粘土にし、形作ったあとに乾燥させ、焼き上げるわけですが、そこには私たちの目に見えないくらいの小さな穴や凹凸がたくさんあります。
そして、そこに水分や油分、においが吸収されやすくなります。それを防ぐためにうつわの表面をコーティングするわけですね。

2-1|目止め」のやり方

行うタイミングは陶器を使用する前!必要なものは、「お米のとぎ汁」、「お鍋」の2つです
お米に含まれるでんぷん質が、うつわのすきまに入り込むことで目に見えない穴をふさいでくれるのです。家にあるもので簡単にできるのが嬉しいですね。
では、さっそく「目止め」のやり方をご紹介しましょう!

STEP.1 
まずうつわを軽く水洗いし、お鍋にうつわとお米のとぎ汁を入れます。
うつわが隠れるくらい注いだら、弱火で15~20分間弱火で煮沸します。

STEP.2 
火を止め冷まします。うつわを取り出し水洗いし、十分に乾かします。
と、基本的にはお鍋に任せて、あとはしっかり乾燥させるだけ。

意外と簡単にできそうですね。
ちょっと面倒だなぁ・・・と感じた方は、お米のとぎ汁や、真水に浸しておくだけでも効果があるそうですよ。

2-2|目止めが必要なうつわとは?

ちなみに、目止めをするうつわはどうやって判断するのでしょうか?
うつわと一言で言っても、日本だけみてもいろんな種類が存在しますね。
その中でもおおまかに「陶器」「磁器」の二つが存在します。
結論から言うと、目止めをする必要があるのは、「陶器」です。
ただし、「陶器」の中にも釉薬(「ゆうやく」、もしくは「うわぐすり」)が掛かっているものは目止めをする必要がなかったりもします。

3|陶器と磁器の違い

~陶器~

原料:土
吸水率:あり、ガラス質が少ない
見た目:厚みがあり、淡い色合い
手ざわり:ザラザラ、弾くと鈍い音がします。

~磁器~

原料:石 陶石を砕いて粉末化したものを使用します。
吸水率:ほぼなし、ガラス質が多い
見た目:薄く硬さがあり、白色。
手ざわり:ツルツル、弾くと高くチンという音

4|貫入について

ここまで説明してきましたが、陶器や磁器に関係なく目止めをおすすめしている種類のうつわがあります。それが「貫入」という技法を使っているうつわのことです。

この表面に入るヒビのような模様が「貫入」です。
ヒビとは異なり、焼いた後に冷却することであわられる模様のことです。

うつわの形に成形したあとの、素地の状態のうつわの上に釉薬を施します。
それを1200~1300度の状態で焼くと、釉薬は溶けてガラスのような層となりうつわの上を覆います。その後、素地の状態のうつわは温度が下がっていくことで縮んでいきます。素地と釉薬の収縮度に差が発生することで、ひびのような状態があらわれます。

模様の一つとして楽しむことのできる貫入ですが、貫入にも同じように無数の小さな穴が空いている状態。
つまり目止めをするのがおすすめですということですね!

5|最後に

今回は目止めについてや、「陶器」「磁器」の違いなどをざっとご紹介しました。
何事もひと手間加えたり、丁寧に扱うことでなんだか愛着が湧いてきますね。
お気に入りのうつわを長く楽しむためにも、正しい知識を知ってうつわを楽しんでいきましょう。