これいい和のいきものがかりです。これいい和で扱う焼き物の中でも人気のある、萩焼。山口県の伝統工芸品です。今回は、この萩焼の魅力について書きたいと思います。

目次
1 萩焼って?
2 萩焼の魅力1 あたたかさをキープする、土
3 萩焼の魅力2 貫入による「萩の七化け」
4 萩焼の魅力3 シンプルさ
5 日常での使い方とお手入れ

1 萩焼って?

萩焼は、素朴で厚みのある質感と、「人の肌を思わせる」というくらい、なめらかさ・やわらかさのある色みで、心が和むようなあたたかみのある雰囲気があります。
はじまりは江戸時代にさかのぼります。その少し前の安土桃山時代、茶道の発展とともに、茶器の需要が高まりました。その際、珍重されたのが高麗茶碗。朝鮮半島で焼かれたものを、当時の茶人が茶器として珍重していました。その後、豊臣秀吉が朝鮮出兵した際、朝鮮半島から陶工の李勺光と弟の李敬を招致し、藩主毛利輝元の庇護のもとに、1604年に窯を開いたことから始まります。以来、山口県の地で、茶器を中心に日常の器をたくさん生産してきました。

2 萩焼の魅力1 あたたかさをキープする、土

焼き物の特色を第一に表すのが、その原料になる土。萩焼には、山口県内で採掘される大道土(だいどうつち)を中心に使われています。大道土は、白っぽい花崗岩が風化してできた土で、砂の多い、粗い粘土です。粗い土は焼いたときに、空気の小さなすき間が多くなるので、空気の粒が断熱材のようなはたらきをし、器としては温まりにくく冷めにくい特徴が生まれます。温まりにくいので熱いお茶を入れてもじんわり温まる程度で、手に持ちやすく、また保温に優れるので、茶器としての評価も高かったようです。
ちなみに、萩焼は見島土(みしまつち。萩沖45キロの離島・見島で採れる、鉄分の多い赤黒色土)と、金峯土(みたけつち。萩の東方で採取される淡いクリーム色の土)と大道土を合わせて作られます。

3 萩焼の魅力2 貫入による「萩野の七化け」

器を焼いたとき、土と、釉薬の冷めやすさの違いによって生まれる表面の細かなヒビのような模様を貫入と言います。この貫入(ヒビ)に、器に入れた水やお茶が少しずつ少しずつ染み込み、茶渋の色が器に移ります。器を使うほど、侘びた味わいが生まれるのです。この変化を「萩の七化け」と言って、萩焼の風合いが少しずつ変化するのを楽しみ、自分だけの味わいのある器を育てるという楽しみが生まれます。

4 萩焼の魅力3 シンプルさ

萩焼は、土らしさを感じる素朴さと、肌色、枇杷色、白萩といった淡い色味で、あたたかみのある優美な印象のものが多いです。絵付けなどの装飾はほとんどされません。茶道具として親しまれてきたこともあり、釉薬のかけ具合や刷毛目、また焼成する際の炎の作用などにより、独特の風合いが生まれます。

5 日常での使い方と、お手入れ

魅力1と2で挙げたように、萩焼にはすき間が多い・貫入により水分が染み込みやすいという特徴があります。そこで、萩焼を購入した際は最初に「目止め」といって、お湯や米のとぎ汁で煮るか、水に浸けて吸水させる、というのをおこなうのをおすすめします。最初にすき間を埋めておくようなイメージで、これをやっておくと、臭いや汚れを吸着しにくくなります。

また、よく乾かしてから収納するのもポイントです。水気が残っていると、カビが生えてしまうこともあるので気をつけてください。

最近は、萩焼の釉薬もさまざまな種類が使われるようになり、色味や表現の仕方も多くなってきています。ぜひお気に入りを見つけて、長く風合いの変化を楽しめるような、萩焼を楽しんでくださいね。